乳製品はさまざまに加工され、20種類以上作られている。
ひっくるめてツァガンイデー(白い食べ物)と呼ばれている。

  • ウルム=乳を放置して出来たクリーム層
  • タラグ=液状ヨーグルト
  • ビャスラグ=軟質チーズ
  • ホロート=アルヒを作って濾した酒粕を乾燥させたもの。
  • ハイデマグ=ウルムを炒って油を飛ばしたもの
などがある。

現在魚は食べないが、遺跡から魚網が出土しているので、一切食べないというわけではなかったらしい。
野菜もほとんど食べないが、野生の葱やニラなどを肉の香りつけ程度に食べる。
ビタミン類は乳製品から取る。
ひつじはたくさんの草を食べているので、その肉もバランス食品とされている。
子羊は行動範囲が狭く、あまりたくさんの草を食べていないので、モンゴルでは食べない。マトンオンリー。



現在はモンゴルで飲み物といったら、アイラグと同列に仍茶(スーティーツァイ)というミルクティーがある。
今やモンゴル人はお茶がなくては生きていけないが、13世紀のモンゴルには、まだお茶は一般的に入っていなかった。
お茶は金国のまた南の南の南宋の産物だが、金国でさえ南宋からだいぶ歳出超過でお金をはたいて茶を買っており、官吏七品官以下は茶を飲むなと禁令が出たくらいであるから、そのまた北のモンゴルでは、超のつく贅沢品だった。
『元朝秘史』にも、スーティーツァイを飲むシーンは一度もなかった。
よく食べるのはひつじ。牛。たまに馬やヤギも食べる。肉は茹でるか煮る。少しハーブをきかせた、シンプルな岩塩の味付け。油が落ちてしまうので、焼くことはない。
家畜の太った秋にまとめて屠殺し、凍らせておける春ごろまで食べる。夏は干し肉(ボルツ)を食べる。なまじ季節はずれに肉を食べると、体調崩したりするらしい。



ボルツ(兵士の携帯食)=冬の間にフリーズドライさせ、臼で繊維状になるまで搗いて、牛の膀胱に詰めると、牛一頭分入ってしまう。ボルツ一つで約200人分の兵士の食料になる。
遊牧民は食いだめできるので、一食しっかり食べたら、その後1週間くらい水しか飲まずに何も食べずにいることもある。現在でもしっかりとした食事は夜だけ。それでいいように身体ができている。(これはどこの遊牧民も同じようなものですね)